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BLOG 2026.09.02

写真台帳と現調シートの下書きを、AIがつくるようになりました

9月1日、建設業向けのAIが2つ、同じ日に提供開始になりました。ひとつは現場写真から写真台帳をつくるもの、もうひとつは現地調査の録音から調査シートの下書きをつくるものです。

この2つに共通していることが、今のAIが建設業のどこに入ってきているのかを、はっきり示しています。どちらも、現場の人が「もう分かっていること」を、決められた様式に書き写す作業だけを引き受けています。

何が出たのか

株式会社CONOCとJAPAN AI株式会社が共同で開発した2つを、CONOCが提供開始しました。

ゲンバフォトAIは、現場で撮った写真をアップロードすると、AIが工種、施工前・施工中・施工後といった撮影タイミング、撮影対象を判定します。写真に写り込んだ工事黒板の記載内容も読み取り、その判定をもとに写真台帳を生成・出力します。

ゲンチョウAIは、現地調査で録音した音声と手入力の情報から、調査シートの下書きを作成します。あわせて、記録されていない項目を検知して提示し、確認漏れを抑えることを狙ったものです。

どちらも「AIエージェント」と呼ばれています。聞き慣れない言葉ですが、中身は難しくありません。質問に一問一答で答えるだけのAIが辞書だとすれば、エージェントは仕事を最後の形まで仕上げて持ってくる新人です。この2つでいえば、写真を渡せば台帳の形にして返してくる、録音を渡せばシートの下書きにして返してくる。人がやるのは、それを見て直すところからです。

あなたの会社では、どの作業にあたるか

言葉を自分の会社の作業に置き換えると、こうなります。

写真台帳をつくる作業とは、現場から持ち帰った数百枚の写真を、工種ごとに分け、施工前・施工中・施工後の順に並べ、どの写真がどこの何なのかを黒板と照らして確かめ、様式に貼っていく作業です。撮った本人なら見れば分かるのに、分かっていることを一枚ずつ様式に移す時間がかかります。

現地調査シートを書く作業とは、現調から会社に戻って、見てきた寸法・下地の状態・お客さんの要望を、記憶とメモから様式に書き起こす作業です。そして書きながら「あそこの高さを測っていない」と気づき、電話で聞き直したり、もう一度行ったりすることになります。

このどちらかに心当たりがあるなら、今回のものはあなたの会社の話です。

減らそうとしているのは、判断ではありません

2つを並べると、はっきりした共通点があります。どちらも、判断をAIに任せていません。

その写真が土間コンの打設中であることは、撮った職人が分かっています。天井裏の下地が木か軽鉄かも、現調に行った人が見てきています。AIが新しく決めていることは、ほとんどありません。

にもかかわらず、この作業には時間がかかります。分かっていることと、様式に収まった書類のあいだに、書き写すという手間が挟まっているからです。今回のAIは、そこだけを引き受けています。

だから使う側から見ると、判断を委ねる不安は起きにくい構図になっています。出てきた下書きが違えば、見れば分かるからです。CONOCはこれを「入力ゼロ、確認だけ」と表現しています。

建設・不動産は、生成AIを使っている割合がいちばん低い

この2つの発表では、どちらのリリースでも同じ数字が引かれています。帝国データバンクが2024年6月14日から7月5日にかけて4,705社に聞いた調査で、『建設・不動産』で生成AIを「活用している」と答えたのは9.4%でした。

帝国データバンクが2024年6月から7月に4,705社へ聞いた調査から。6つの業種区分のうち、建設・不動産は使っている割合がいちばん低い
帝国データバンクが2024年6月から7月に4,705社へ聞いた調査から。6つの業種区分のうち、建設・不動産は使っている割合がいちばん低い

全体では17.3%なので、およそ半分です。業種の区分は6つあり、そのなかで『建設・不動産』の9.4%が最も低い数字でした。「活用しておらず予定もない」は58.4%で、これは『運輸・通信』の59.0%に次いで2番目に高い割合です。

もうひとつ、この調査には見落とされやすい数字があります。従業員数別に見ると、『10人未満』が17.8%で、『10人以上50人未満』の14.3%、『50人以上100人未満』の13.9%より高いのです。会社が小さいほど使っていない、という単純な話ではありませんでした。

なお、これは2024年8月に公表された調査の数字です。2年前の状況であることは、読むときに割り引く必要があります。

変わったのは、買える形になったことです

建設業のAI事例としてこれまで紹介されてきたものの多くは、大手の会社が自社のためにつくったものでした。読んでも、自分の会社で同じものを用意することはできません。

今回のものは、そこが違います。CONOC建設業クラウドという月額のサービスの機能として出ています。CONOCは公式サイトで、このクラウドの利用企業について「5名未満の企業から500名以上の企業まで様々です。中でも30名以下の企業が最も大きな割合を占めております」と書いています。想定されているのは、はじめから規模の小さい会社です。

ただし、いま時点では限りがあります。提供はCONOC建設業クラウドの利用企業のうち対象を限定して始まり、順次拡大していくとされています。ゲンチョウAIは工務店および内装・リフォーム工事を手がける事業者が対象です。そして2つのAIの価格は、どちらのリリースにも書かれていません。クラウド本体の月額は9,800円からと公式サイトにありますが、このAIがそこに含まれるのか別料金なのかは、公表された情報からは分かりません。使えるかどうかを知るには、問い合わせが要ります。

自分の会社で数えられること

今回のものが自分の会社に効くかどうかは、外の事例を読んでも決まりません。決まるのは、その作業に今どれだけ時間を使っているかです。次の3つは、記録がなくても思い出せば数えられます。

  • 先月終わった現場で、写真の仕分けと台帳づくりに何時間かけたか
  • 現調から戻って調査シートを書き起こすのに、1件あたり何分かかっているか
  • 現調で聞き忘れて、電話で聞き直したり現場に戻ったりしたのが、何回あったか

3つ目がいちばん見えにくく、いちばん効きます。聞き直しは書類の時間として数えられないまま、往復の移動と、相手の手間になって消えていくからです。ゲンチョウAIが「記録されていない項目を検知する」と言っているのは、ここを狙っています。

数えてみて、どれも大した時間ではなかったのなら、今回のものは自分の会社にはまだ関係がない、という結論で構いません。判断の材料は、発表のなかではなく自分の会社のなかにあります。

出典

株式会社MAPACT(埼玉県春日部市)
中小企業のAI導入を支援しています。やっていること

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