BLOG 2026.08.25
業務を自動化したら、通知が増えすぎた ── 「何もなければ黙る」に作り直すまで
一日に三回、朝いちばんと昼と夜に、Slackを開いて全部のやりとりを見て回っていました。
見ているのは、各担当のところでアポの日程が調整されているか、見積が提出されているか。すべての事業がいまどう回っているかを、常に詳しく把握しておく必要がありました。 どこかが止まっていることに、自分が最初に気づかないといけない。そういう役目を自分で持っていました。
これは仕組みで持っている状態ではありません。人の注意力で持っている状態です。当然、人がやることなので抜け漏れも出ます。
小さな会社にはたいてい、この役目を持っている人が一人います。当番でも当直でもないのに、いつも全体を気にしている人。その人が忙しい日や外に出ている日は、会社全体の見通しがそのまま薄くなります。
見て回る仕事を、そのままの形で移した
やったことは単純で、人がやっていたことをそのままAIに移しました。決まった時刻にやりとりを見に行き、止まっているものを拾って知らせる。担当ごと、目的ごとに分けて、いまは16個が動いています。
増やすほど、朝が読めなくなった
任せる先を一つ増やすたびに、「動きました」という報告も一つ増える作りにしていました。
届く通知は日ごとに増えていきます。そしてある時期から、朝に並んだ通知のうちどれが何の話なのかが、受け取る側から分からなくなりました。全部が同じ顔をして並んでいる。開かないと中身が分からず、開いても「異常なし」と書いてあるだけ。そのうち、見出しだけ眺めて閉じるようになります。
自動化したのに、結局また自分で見に行くことになっていました。
任せる先を増やすたびに「動きました」の報告も増え、朝の通知が読めなくなった。いまは何もなければ黙り、記録に一行だけ残す。
原因は、受け取る側ではなく作った側にあります。自動化の出来を「動いた回数」で測っていました。 動いたのだから報告する、報告が多いのは働いている証拠だ、と。でも動いた回数は、作った側が安心するための数字でした。受け取る人に要るのは、動いた回数ではありません。自分が判断しなければならないことだけです。
「何もなければ黙る」を、全部の既定にした
直し方は三つでした。
- 通知を出すのは、人が判断することがあるときだけにする。異常なし・平常運転の報告は全部止める
- ただし、何も無かった回も記録には一行だけ残す。「見に行った。何も無かった」と書いておく
- 最後まで走り切った時刻を別のファイルに書かせ、それを見る係を一つだけ置く
二つめと三つめが要ります。黙る設計にすると、静かにしているのと、止まっているのとが区別できなくなるからです。何も来ない朝が、順調なのか故障なのか分からない。記録が残っていれば後から追えますし、完走した時刻が更新されなくなれば、止まったと判断できます。
いま、この四週間ぶんの記録を数えると、375行のうち151行、およそ4割が「見に行ったが、何も言わずに終えた」回でした。以前ならこれが全部、通知として朝に届いていた分です。
変わったこと
朝に届く通知のうちどれを開いて中まで読んでいるか、あとで確認してみました。答えは「全部読む」。見出しだけで飛ばすものは無い、と。
通知の数と、判断すべき用件の数が一致したので、全部読めるようになった、というだけの話です。減らしたから読めるようになったのであって、通知の中身が良くなったわけではありません。
任せてみて「これは任せない」と引き戻したものは、いまのところありません。実際に手を動かす現場の作業以外は、全部任せられるという感触になっています。
そして一番変わったのは、時間の使い道でした。見て回るために使っていた一日三回分が、そのままAIに向き合う時間、壁打ちの時間に移りました。楽をするために外したつもりでしたが、実際には次を作る時間を空けていたことになります。
まだ解けていないこと
黙る設計には代償があります。止まったことに気づくのが遅れます。
止まったと判断するまでの時間は、そのAIが動く間隔より広く取るしかありません。そうしないと、正常な沈黙まで異常として鳴ってしまいます。つまり週次で動くものは、どうやっても丸一週間以上「止まっているのに静か」な状態が続くことになります。
実際、この記事を書いている朝に、週に一度動くはずのものが8日近く止まっていた、という通知が届きました。仕掛けは働きました。ただ、遅い。ここはまだ手探りです。
明日からできること
- いま出している通知を「動いた報告」と「人が判断すること」の二つに分ける。前者は全部止める
- 止めた代わりに、何も無かった回も記録に一行残す。黙っているのか止まっているのかを、後から見分けられるようにする
- 自動化した仕事が最後まで走り切った時刻をどこかに書かせ、それを見るものを一つだけ置く。これが最後の砦になります
通知を減らすのは、報告をさぼることではありません。人が読む一通に、判断を一つだけ載せるための作業です。
株式会社MAPACT(埼玉県春日部市)
中小企業のAI導入を支援しています。やっていること
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